見えている影響、見えていない影響
車の排気ガスやごみの山は目に見えます。一方で、服やスマートフォンが店に並ぶまでには、原料を掘り出し、加工し、工場で作り、海を越えて運ぶ工程があります。こうした工程で出る温室効果ガスは、買う人の目にはほとんど映りません。これが「隠れた影響(Hidden Impact)」です。
たとえば一枚のTシャツ。綿を育てる畑の水、糸をつむぎ布を染める工場のエネルギー、船やトラックでの輸送、そして着なくなったあとの処分。お店の値札には、こうした影響は書かれていません。
カーボンフットプリントという考え方
環境白書(令和2年版)は、消費が気候にもたらす影響をとらえる方法として「カーボンフットプリント」を紹介しています。資源の採取、素材の加工、製品の製造、流通、小売、使用、廃棄という製品の一生全体で出る温室効果ガスを数えることで、輸入品も含めた日本の消費の影響が見えるようになります(環境省)。
国内の工場や発電所で出る量で見ると、家計の割合は小さく見えます。ところが消費ベースで見ると、全体の約6割が家計によるものという報告もあると白書は記しています。
いちばん大きいのは「住まい」
同じ白書によると、日本人の平均的なライフスタイル・カーボンフットプリントで最も大きいのは住居によるもので、次いで移動、食の順です。冷暖房や照明、家電の電気は、毎日くり返されるぶん積み重なっていきます。
暮らし全体を見直す「デコ活」
環境省は2022年10月に、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくる国民運動を始め、2023年7月に「デコ活」という愛称を決めました。衣食住や仕事、移動、買い物など、生活全般にわたる将来の暮らしの姿を提案し、自治体や企業とも連携して取り組みを広げています(環境白書 令和7年版)。隠れた影響を小さくすることは、こうした暮らし全体の見直しの一部です。
影響を小さくする選び方
- 長く使えるものを選び、壊れたら修理して使い続ける
- 新品を買う前に、借りる、譲ってもらう、中古を探すといった方法を考える
- 住まいの電気の使い方を見直す。影響がいちばん大きいのは住居です
- 同じものなら、運ぶ距離が短いものを選ぶ
隠れた影響を見つける四つの問い
- これは何から作られている?
- どこから、どうやって運ばれてきた?
- 使い終わったらどうなる?
- あと何年使える?
答えがすぐに分からなくても大丈夫です。問いを持つだけで、ラベルや産地の表示、電気の明細を見る習慣がつきます。ふだんとは違う角度から見ることが、隠れた影響に気づく第一歩です。
電気の請求書にある見えにくい行:卒FITと terugleverkosten
カーボンフットプリントは、作る、運ぶ、使う、捨てるという一生を通して、ふだんは見えない気候への影響を数える考え方です。電気の契約にも、単価の表だけでは見えない行があります。太陽光パネルのある家庭では、とくに売った電気の扱いに隠れた差が出ます。
日本の卒FIT家庭は、10年の買取期間が終わると、売電の価格を新しい契約先の条件で決めることになりました(資源エネルギー庁「どうする?ソーラー」)。オランダでは2027年1月1日に saldering が終わり、売った電気の対価 terugleververgoeding と、電力会社が取ることのある手数料 terugleverkosten が請求書の新しい行になります。手数料は電気の処理にかかる費用に限られ、オランダの競争当局 ACM が監督しています(Rijksoverheid)。
| 見えにくい行 | 日本の卒FIT家庭 | オランダ 2027年から |
|---|---|---|
| 売電の単価 | 契約先ごとに違う | terugleververgoeding、2030年まで税抜き料金の半分以上 |
| 売電の手数料 | 契約の条件しだい | terugleverkosten、会社ごとに大きく違う |
| 確かめ方 | 買取の条件を比べる | 電力契約を年間の総額で比べる |
見えにくい行まで含めて比べることを、オランダでは「energie vergelijken 2027」と言います。
Het Nederlandse deel staat hieronder.