海洋生物学者マーク・アードマン からのメッセージ-We have One Home.

マーク・アードマンが語る海への希望。

2021.04.03 松岡 美範

松岡 美範

2020年、2月。私は南太平洋に浮かぶ島国、ニューカレドニアのとあるレストランで初めて海洋生物学者のマーク・アードマンと出会った。何を隠そう、彼は東アジアで初めてインドネシアシーラカンスの存在を明らかにした人物だ。(!)コンサーベーション・インターナショナル(以下、CI)によるマンタの生態調査に同行した私は、マンタ個体識別のために写真を撮ったり、GPS付きのタグをつける為、調査ダイブを行っていた。

「研究者」というワードで、どんな人を想像するだろう。

文字で「研究者」と見ると、とても堅い印象を持つ人も多いかもしれない。でも、調査や研究のフィールドでは自分の好きなものを追い求めて、地球という枠組みの中であるべき姿をただひたすらに追い求めている人がいる。

船上にてカメラの最終確認を行う

マークは、私がどんな研究者だろうと想像していた像には当てはまらなかった。彼は大柄なアメリカ人で身長が高く、大きな手は海外サイズのビールジョッキを小さく見せていた。豪快にお腹の底から響かせる笑い声で、誰もかれも笑いの渦に引き込んでしまうような人、それがマークだ。彼はCIアジア太平洋プログラムの副統括リーダーで、CIニュージーランドの監督として仕事をしている。研究者としての業績は凄まじく、170種以上にも及ぶ魚類や甲殻類の新種発見している。BBCやナショナルジオグラフィックなど、国際的なメディアにもその研究が取り上げられていて、科学アドバイザーとしても著名な人物だ。(マークによれば、日本は世界有数のシーラカンス好きの国(?)であり、インドネシアシーラカンスを発見した時にはNHKでも大きく取り上げられた。)

そんなマークが新たに取り組んでいるCIのクラウドファンディングのプロジェクトがある。

その名も、

「人と地球とのつながりを知る旅 〜 豊かな生命の象徴、ジンベイザメを追う 〜」

© Shawn Heinrichs

ジンベエザメは現在、IUCNのレッドリストにおいてEN【野生で非常に高い絶滅のリスクに直面している】というランクに位置づけられており、違法な乱獲、船との衝突、ゴーストネット被害等様々な人的影響を受けている一種だ。環境改変(気候変動)に適応できず数を減らしているとも言われている。

ジンベエザメの生態は、まだまだ未知な部分が多い。例えば潜水深度や、餌場として重要な地域、繁殖場所。このような情報は、海洋保護区等や保全方法の選定において不可欠だ。行動範囲を把握することで人間との衝突を避けることもできる。

このクラウドファンディングは、種の保全に欠かせない情報収集のための研究費を募るもの。

調査手法として、ジンベエザメへのGPSの取り付けを行う。CIは2015年から「whale shark tracker」というプロジェクトがローンチされていて、すでに稼働しているGPSのトラック(ジンベエザメの航路を示す)データを閲覧することができる。クラファンに参加すると、里親として名前を付ける権利を得られる可能性も。よく見ると「Taro」「Susi」と何やら日本に由来する名前も見られてなんだか面白い。(GPSをつけることが生き物にダメージを与えそう?そう感じる人もいるかもしれない。Whale shark trackerについてのCIが作成した動画では、GPSの取り付けによる痛みから来るストレスが、かなり低いことも説明されている。)

© Shawn Heinrichs

温暖な海域でゆったりと泳ぎ、時に体長18mまでも成長するジンベエザメ。その姿を地球に残す希望のため、私はこのクラウドファンディングに協力した。理由はシンプルで、生き物が好きというのもあるけど、マークを応援できると思うととても心強かったから。誰かや何かを応援するとき、あなたはどんな動機で動くだろう?その誰かは、あなたが強く共感したり、もしくは顔を知っているという場合が多くはないだろうか。

だから、今日はマークという人となりをみんなにも知ってもらいたい。

マークは知識も豊富で、マンタが現れると誰よりも先に信じられない速さで海に飛び込む。そんなマンタまっしぐらな彼は、周りへの細やかな気遣いをも忘れない心優しい人だ。例えば、慣れない環境でのダイブでくたくたになっている私に労いの言葉をかけながら、器材処理の手伝いやアドバイスをくれた。翌日のダイブで使う道具は抜かりなくメンテナンスし、トラブルなく調査が進められるように段取り確認には余念がなかった。調査後の夕食では、毎晩世界中での面白い調査秘話を披露してくれた。

ウベア島での調査チームと。中央がマーク。
マンタを見失わないように準備しながら海面を見つめる。

こんな研究者もいるんだってことを知ってもらいたくて、マークが見た海と人とのつながり海への希望や、地球への向き合い方をインタビューした。下の動画は、そのインタビューをおさめたもの。

地球と生き物の良好な関係を築きたい」と思ってスパイラルで活動してきた私にとって、マークの言葉は「私はなぜそうしたかったんだっけ」という視点をくれた。あなたにも何か響く言葉があるかもしれない。

「見たこともない生き物を守ろうと言われても」

そんな風に感じていた人は、彼のインタビューを見て頭の中で何か光っただろうか。もしくはあなたの「何で守りたかったんだっけ」を、もう一回考えるきっかけになったら嬉しい。マークが進めるジンベエザメプロジェクトを応援したい人は、クラウドファンディングへアクセス。期限は今月末まで。何かアクションしたければ、すでにアクションしている人を応援することも大きな力になる。

“Without nature, we won’t survive.” -Mark Erdmann 

「自然環境なしに、私達人間は生き残ることはできない」 マーク・アードマン

© Shawn Heinrichs
© Burt Jones and Maurine Shimlock

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松岡 美範

松岡 美範

国内外でウミガメ、サンゴ礁、イルカなどの海洋保全活動に参加。夢は鯨類と泳ぎ、オサガメと出会うこと。今後学びたい事は、クジラのソングやヒートコーラル、海に関する神話と、科学の親和性。知識・感情共に豊かな海洋ジャーナリストを目指す。もっと詳しく

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