「ツバルへようこそ」その1:楽園の人々

首相だろうが、道端のおっさんだろうが、みんな友達。灼熱の「楽園」で過ごした1ヶ月半を、少しおすそ分け。

2019.01.17 清水 イアン

清水 イアン

みなさん、お元気ですか?

早速だけど、ここでクイズ。

東京から南東に 6400km 進むと、そこには何があるでしょう?

たどり着くのは、南太平洋のど真ん中。

そこに浮かぶのは、人口10,000人の小さな小さな島国、ツバル。

「悲劇の楽園」とか「温暖化に沈む国」とかすごい言われようだけど、

ツバルには、一体どんな「日常」があるんだろう?

2018年1月。あまりに気になったので、行ってみた。

今日は旅から持ち帰ったポラロイドを、みんなに見せたいと思う。

写真が多いので、3回に渡って紹介する。

第1回のテーマは「楽園の人々」。

少しでもツバルの雰囲気を味わってもらえたら嬉しい。

東京からツバルへは、最短で二日間かかる。

まず韓国に飛び、フィジーを経由し、最後はプロペラ機に乗り込みツバルの首都「フナフティ」を目指す。

最近は東京からフィジーへの直行便が出たのと、ツバル行きの便も増えたらしく、少し行きやすくなったんだとか。

ツバルに到着すると、空港にはたくさんの人が。

でもおかしい・・・飛行機に乗っていた3倍ぐらいの人がいるぞ。

「誰か迎えに来たんですか?」

「いやぁ、べつに。」

ほとんどの人が、誰かを迎えに来ているわけではないそうだ。

一体、どういうこと?

当時、ツバルへは1週間にたったの2便しか飛行機が行き来していなかった。

久々の飛行機到着は一大イベント。「どんな人が来るのかな〜?」ととりあえず見に人が集まるのだ。

みんな暇なのだ。

おばちゃん(お姉さん?)たちが空港のすぐ外の木陰で、貝殻のネックレスを売っていた。

これは、旅立つ人への贈り物。

「元気でね」と思いを込めて去っていく人の首にかける。

1月のツバルはむちゃくちゃ暑い。日中の日差しは信じられないぐらい強い。肌がジリジリと焼ける。

あまりの暑さに犬もこの通り。

魚もこの通り、頭から水に突っ込んでいる。

人は、暑さをしのぎたい時は「ウム」で休憩する。

「ウム」とは昔ながらのツバルの東屋のこと。機能としては「リビングルーム」に近い。

木や葉っぱで作られていて、壁がないから風が抜けて涼しい。コンクリでできた家の中よりも圧倒的に快適なので、家にいる時は大抵ウムで過ごす。

ツバルを歩いていると、あちこちにウムがある。

島の人たちはその上で寝たり、家族で会話をしたり、テレビを見たり、作業をしたり、ゆっくりとした時間を楽しむ。

ツバル人はみんな優しいので、歩き疲れ休憩したい時は「タロファ〜(こんにちは)」と声をかけて、ウムの日陰を貸してもらったりした。

運が良い時は、ココナッツが振舞われた。

木からむしりとったココナッツにナイフで穴をこじ開ける。そして、たっぷたぷに上まで詰まったココナッツウォーターを火照った体に流し込む。

ゴクゴクゴク。ブワ〜ッッ!!うまし!

旅の間、ココナッツに病みつきになった。

でも、食物繊維が豊富すぎたのか、僕は飲むたびに下痢になった。

それでもおいしいから飲む。そして下痢をする。

ツバルにいた1ヶ月半は、ひたすらこのサイクルだった。

ちなみに、ツバル語でココナッツのことを「ピー」という。

ネーミングぴったりすぎ。

ツバルの海は美しい。

海でうんこする人もいるらしいけど、それでもまだまだ美しい。

ツバルの人は海を頼りに生きてきた。輸入品が入ってくるまで、主食は魚とイモ。

すぐ上の写真は、夕暮れ時に釣りを楽しむアピネル。

滞在した間、アピネルの家でお世話になった。

魚の鱗をとるアピネル。

アピネルは、喋り方がクシャクシャしてて可愛らしい、よく寝るおじさんだった。

テンションが上がると、裏声で「ひーひっひっひっ」と笑うところが好きだった。

いつかまた会いたいな、アピネル。

酔っ払ってウムで爆睡するアピネルの息子。この時は12時間くらい寝続けていた。

ココナッツの中身をしぼるアピネルの奥さん。夕食の準備中。家の実権を握るのは彼女。

これは、アピネルとは全く関係の無いおっさん。

でもこの全く関係の無いおっさんが中々面白かった。

「おー!お前さんは日本から来たのか!」

と言うので、うんと答えたら、得意げにこう言うのだ。

「おれは日本語で名前が書けるんだ!昔、船乗りをしててな!日本に行ったことがあるのさ。ジャッパニーズガールは美人だな!」

「はぁ・・・」

「ほら、その写真をよこしてみろ、名前を書いてあげよう!」

カキカキカキ・・・

「ほらよ」

・・・?!

・・・・パ?

このおっさんの名前に「パ」は入っていない。

もう謎すぎるし、暑すぎるし、僕に突っ込みを入れる余力はなかった。

下は、おっさんの孫たち。

ある日、島にある唯一のホテル(他にはホステルしか無い)に日本の国旗が掲げられていた。

おや?と思って周りに聞いてみたら、日本大使が来ているらしい。

「今夜は日本大使をもてなすパーティがあるらしいよ。」

ツバル在住の日本人、カトちゃんが教えてくれた。

「よし、行ってみよう。」

軽い気持ちで足を運んでみたら、こうなった。

左から、ツバルの首相 エネレ・ソボアンガ、カトちゃん、エネレの奥さん、ニーナ、日本大使。

「日本から来た私の友達だ。」

そう言って、エネレが僕のことを日本大使に紹介した。

硬直した笑みを浮かべ、ゆっくりと頷く日本大使。

いくらツバルとは言え、これは一国の首相が一国を代表する大使を迎える、国家レベルの大切な催しだ。

「友達て・・・」

あまりにもゆるい。でも、このゆるさがたまらなく好きだ。

こんなゆるさで世界が動いていたら、きっともっと平和だと思う。

上は首相官邸。「友達」は出入り自由。

ツバルでは、誰もが「友達」だった。

みんな、ツバルのことを「楽園」と呼ぶ。

最後にツバル名物「寝るおっさん」をお届けして、

今回はおしまい。

次のテーマは「離島と循環とゴミ」を予定中。

トーファー!

(ツバル語でさよなら)

清水 イアン

清水 イアン

1992年大阪生まれ東京育ち。心のふるさとは沖縄の海。国際環境NGO 350.org Japanを経て、現在はフリーで環境に関する記事の執筆、講演、コンサルをしている。環境に関する「会話」が日常化していない状況を変えたく、仲間と新たな発信の拠点「Spiral Club」を立ち上げる。もっと詳しく

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