【ふしぎな生きもの図鑑】その1:小さき鎧を着たもの達

アルマジロって実はナマケモノとアリクイの親戚なんだって

2019.04.12 ウッホ・ウホミツ

ウッホ・ウホミツ

ついにやってきました、「Youはどんな生き物なの?」のコーナーです。

このコーナーでは、世界中にいる不思議な生き物たちに、私ミッツがインタビューをします。最近ではどんなライフスタイルを送っているのかなどなど、Spiral Clubを読んでくれているみんなと共有していけたらいいなと思っています。

ではでは早速、第一回目のゲストをご紹介します。
本日は遥々南アメリカ大陸から、いつも愉快に丸まっているアルマジロのアルモンドくんにお越しいただきました。遠いところからようこそ!

「アルマジロのアルモンドくんを出迎えにいきました」

アルモンドくん:どうも、おはこんばんわ。アルマジロのアルモンドです。


アルモンドの自己紹介

ミッツ:まずは軽く、自己紹介からどうぞ。

アルモンドくん:そうですねー。まあぼくらのチャーミングなところといえば、サッカーボールみたいに丸くなることかな。ぼくらの体は鱗甲板 (りんこうばん) と呼ばれる甲皮に覆われていて、頭やしっぽもうろこ状になっているの。それはもうめちゃくちゃ硬い。どれ程硬いかというと、ぼくらに銃弾が放たれても、発砲した人類に銃弾が跳ね返って、逆に人類が怪我をしちゃうこともある。

ミッツ:哺乳類でそういう皮膚をもっているのは、今では君たちだけだよね。
君たちの皮膚は、 甲皮 (こうひ) と呼ばれる骨から成る皮膚で、筋肉の外側や表面の皮のすぐ下にある。だから筋肉や骨を動かすのと同じくらい、自由に動かすことができちゃう。いわば骨のよろいを着ている状態だね。
ちなみに、アジア大陸にいるセンザンコウの皮膚は、体毛が変化したものと言われている。同じ皮膚でも、全く違うつくりなんだね。


アルマジロ・ライフ

ミッツ:普段はどんな風に過ごしているの?

アルモンドくん:ぼくらは1日のうち、約18時間は地中の巣の中に潜って、ずっと寝て過ごしている。前腕にある長い爪で、せっせと巣を作ってね、そこで眠るの。たまに起きるのは、お腹が減ったときだけかなー。地中で過ごす時間が長いから、あまり目は良くないんだよね。その代わりに嗅覚は抜群だよ。美味しいシロアリかどうか、匂いですぐに分かっちゃうの。シロアリはミネラルが豊富で超ヘルシーだよ。

ミッツ:アリクイとあまり変わらないんだね。


ぼくらの身体の形

アルモンドくん:ぼくらの特徴なのがオビ。これが体を覆っている甲皮とすこし違っていて、伸縮性があるの。アルマジロ一族の種目のほとんどが、オビの数によって決められているんだ。
もう少し詳しく話すと、ぼくらの背中にある甲皮は、 肩甲 (けんこう) 腰甲(ようこう) に分かれている。背甲 (はいこう) 臀甲 (でんこう)を一枚ずつ持つのがヒメアルマジロ亜科で、3~10枚の 帯甲 (たいこう) と呼ばれる部位を持つのがアルマジロ亜科だよ。

アルモンドくん:背中を覆うように甲皮が張り付いているんだよ。
それと甲皮がとても硬い理由は、自然界で最も有能な建築物とされている蜂の巣と同じ六角形の構造でできているから。

アルモンドくん:ワニや亀の鱗と違って、綺麗でしょ?

ミッツ: (最近の哺乳類は人類も含め調子に乗ってるよな) いやいや、亀も六角形の甲羅あるよね。

アルモンドくん: (なんか言ってるけど無視しよっと)
ちなみにさっきは、丸くなることがチャーミングポイントだと言ってしまったけれど、実際にサッカーボールみたいになれるのはミツオビアルマジロくんたちだけなんだ。でも丸くなれるのってなんか、こう、、キュートじゃない?だからつい、自己紹介では言っちゃうんだけどね。。

ミッツ:そっか、みんながみんな丸くなるわけじゃないんだね。
ていうか21種のうち2種類しか丸くならないって、ほぼ詐欺じゃん。

アルモンドくん:ミツオビアルマジロくんが丸くなれる秘訣は、いくつかあるんだよね。 まず、しっぽが短いこと。やっぱりしっぽが長いと、格納できないよね。ミツオビアルマジロくんの場合は、肩甲と腰甲の間に空間があって、ゴムみたいに伸ばすことで丸くなれちゃうんだ。他のアルマジロにはできない芸だね。

全然丸くならない子だと、体長15cmのヒメアルマジロくんがいるんだけど、もう本当にキュートなんだよね。なかなか地中から出てこない上に、とても小さいから、人類からうまく隠れられている。特徴的なのは、他のアルマジロと違って帯甲がないのと、お尻の方まで甲皮があることかな。

アルモンドくん:体調15cmしかないから人類の手のひらに収まる程度かな

ミッツ:ところで、君たちが人類からどんな風に呼ばれているか、知っている?ナマケモノやアリクイと同じ異節類 (いせつるい) だって。

アルモンドくん:・・・え?名前が全然キュートじゃないんだけど。

ミッツ:話に聞くと、ナマケモノやアルマジロが属する異節類と、その他の哺乳類には異なるポイントは4つあるんだって。
1つ目のポイントは、脊椎 (せきつい – 背骨をつくる骨) の数。 脊椎の数が7つ以外なのは、マナティやハリモグラなどの原獣亜綱(げんじゅうあこう)だけかな。

ミッツ:キリンや人の脊椎の数は7つなんだけど、現代のナマケモノは9つまたは8つある。

図3:馬やほかの哺乳類の腰椎
図4:貧歯類の腰椎

ミッツ:2つ目のポイントは、腰骨の構造。坐骨 (ざこつ) が最前位の 尾椎 (びつい – 尻尾をつくる椎骨) とくっ付いていて、脊椎を維持するための余分な関節が腰椎にある。

アリクイの頭蓋骨..歯がないような

ミッツ:そして 3つ目は、哺乳類の中では珍しく 貧歯 (ひんし – 歯が著しく貧弱な科目) なことかな。ナマケモノには犬歯と切歯がなかったり、極端な例だとアリクイみたいな口とか。
最後にはみんな南アメリカ出身であること。人類はアフリカ大陸出身だから、ちょっと距離があるね。

アルモンドくん:それにしても歯の構造や骨でぼくたちを種類分けするなんて、なんだかよく分からないな。ぼくらと人類は、ちょっと美的感覚がずれているのね。

ミッツ:ちなみに異節類のなかでも、アルマジロくんたちが属する 被甲目 (ひこうもく) はラテン語で Cingulata 、これは ベルトを巻いたもの っていう意味らしいよ。


ちょっとだけ昔話

ミッツ:ところで君たち、昔は似ている仲間でグリプトドンとかいたよね。
仲良しだった?

アルモンドくん:グリプトドン!なつかしいね〜。彼らはまあとにかく、巨大だったから (直径約1.5~3m) ぼくらとはまた違ったライフスタイルだったみたいだね。でも甲皮がめちゃくちゃ硬いのは共通点かな。グリプトドンもアルマジロも、自然界で天敵に遭遇した時、相手を攻撃する手段をあまり持ち合わせてはいないんだ。だからこの甲皮だけが、頼みの綱なの。剣はないけれど、強力な盾で自分の身を守るんだ。

ミッツ:今から大体6500万年前、恐竜たちが絶滅したあとのネクストジェネレーションとして地球を支配し始めたのが、哺乳類や君たちの仲間グリプトドンだったんだ。
ちょっと補足すると、君たちアルマジロの祖先は、5600万年前の暁新世紀に現れたリオステゴテリウム・ヤネイだね。ヤネイちゃんは暁新世紀の哺乳類にしては珍しく、甲羅を背負ってたらしいよ。

アルモンドくん:へー、そんな昔からアルマジロ一族っているんだ。
話を戻すと、300万年前に南アメリカ大陸と北アメリカ大陸がつながって (アメリカ大陸間大交差) 、北アメリカ大陸からサーベルタイガーたちが移住してきてからは、アルマジロ一族にとってはバトルロワイヤル状態だったね。ほとんど絶滅したけれど、そんな中でなんとか勝ち残ったのが、われらアルマジロなんだ。
ぼくらの硬い甲皮って、地味だけれど結構実用的じゃない?ピューマとかの捕食者は確かに天敵だけど、一度地中に埋まってしまえばこちらのものだからね。
でもその実用性が故に、グリプトドンたちは、約1万3000年前の人類によって、防具や盾に使用するために狩猟されちゃって、絶滅したっていう説もあるんだよね。

ミッツ:人類ってやばいね。まぁ、銃弾を跳ね返す程の硬さなんだものね。

アルモンドくん:やっぱりアリクイやナマケモノと比べて早く地球に出現したから、それくらいの身体的特徴をもらっていないと、生き残れないよね。


アルモンドからの疑問

アルモンドくん:ぼくたちの身体ってスキニーでしょ。実は脂肪がとても少ないの。つまり体温が、外界の環境によって変化しやすい体質なんだ。その体質だからか、気温が高い夏は夜行性になるし、逆に気温が低い冬は昼行性になるの。なんか体内の温度調整が、他の哺乳類と比べて下手くそみたい。なんでなんだろうね。

ミッツ:ナマケモノなんか哺乳類最悪の新陳代謝だし・・・
その代わりと言ってはなんだけれど、哺乳類の中では比較的長い生殖器を持っているじゃん。あなたたちの生殖器の長さは、体長の75%に値するんだよ!
これって哺乳類の中では、すごいことだよ。

アルモンドくん:それは甲羅を背負っているから、繁殖行為が難しいんです。
仕方ないでしょ!だいたい体温と生殖器の長さって全然関係ないじゃん。
あ、繁殖行為といえば、ココノオビアルマジロのカップルの子どもは、ほとんど必ず一卵性の四つ子なんだ。 哺乳類の中で一卵性の四つ子を生むのは彼らだけなんだけど、なんでなのかな?

ミッツ:よくわからないですね。生命って謎だよね。


最後に

アルモンドくん:よかったらこの後一緒にシロアリを食べない?ご馳走するよ。

ミッツ:・・・美味しそうですけど、今日は遠慮しておきます。まだお仕事なので。

アルモンドくん:そう?じゃあまた今度ね。そろそろ帰ってサッカー見ないと。

ミッツ:あら、もうこんな時間。今日ははるばるありがとうね。

アルモンドくん:また会おうね。アディオスアミーゴ!



脚注:
1.Nine-banded Armadillo Standing Up. Public Domains Pictures, Bobek.Ltd, www.publicdomainpictures.net/
   en/view-image.php?image=241869&picture=nine-banded-armadillo-standing-up. Accessed 30 May 2019.

2.”Woman wounded in US armadillo shooting.” BBC, 15 Apr. 2015, www.bbc.com/news/
   world-us-canada-32306096?ocid=JP_NewsTW. Accessed 30 May 2019.

3 Hirasawa, Tatsuya, et al.
    “胚発生過程と化石記録から解き明かされたカメの甲羅の初期進化
    -カメの背中の甲羅は肋骨成分のみから進化してきたことが明らかに-.”
    理科学研究所, 理化学研究所, 9 July 2013, www.riken.jp/pr/press/2013/
    20130709_1/. Accessed 30 May 2019.


4 日本大百科全書(ニッポニカ). 2nd ed. コトバンク, The Asahi Shimbun Company / VOYAGE
   GROUP, kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%AD-28696.
   Accessed 30 May 2019.

5 .Cheng, Catherine. “The Belted Ones.” The Rafting Moneky, WordPress.com, 28 Jan. 2017,
   raftingmonkey.com/2017/01/28/the-belted-ones/. Accessed 30 May 2019.

6.Yang, Wen, et al. “Natural Flexible Dermal Armor.” Advanced Material, PDF ed., vol. 25, no. 1, 4
   Jan. 2013, pp. 31-48.

7.”Facts about the Nine Banded Armadillo of USA.” Pikchur, Pickhur, July 2011, www.pickchur.com/2011/
   07/facts-about-the-nine-banded-armadillo-of-usa/. Accessed 30 May 2019.

8.Conger, Cristen. “How do armadillos roll into a ball?” How stuffs work, Howstuffswork, 22 May 2019,
   animals.howstuffworks.com/mammals/armadillo-ball1.htm.

9. fairy-armadillo. Apr. 2015. Apr. 2015, poetlizbrownlee.files.wordpress.com/2015/04/
   fairy-armadillo.jpg?w=600. Accessed 30 May 2019.

10.くだらな感想. www.asahi-net.or.jp/~bh3h-smjy/zuiso/d301.htm. Accessed 30 May 2019.


11. Fukuda, Yoshio. “-絶滅した巨大地上性ナマケモノの進化と古生態(その1).”
   新・私の古生物誌, vol. 2009, no. 2, 1 Apr. 2009, pp. 18-22.

12.Gaudin, Timothy J., and Darin A. Croft. “Paleogene Xenarthra and the evolution of South American
   mammals.” Journal of Mammalogy, vol. 96, no. 4, 3 Aug. 2015, pp. 622-34, Paleogene Xenarthra
   and the evolution of South American mammals. Accessed 3 Aug. 2015

13.Hasegawa, Masami. “僕たちの祖先をめぐる15億年の旅.”
   ナマケモノとヒトの共通祖先, kagakubar.com/mandala/mandala09.html.

14. BioKids. www.biokids.umich.edu/critters/Dasypus_novemcinctus.

15. Cliffe, R. N., Scantlebury, D., Kennedy, S. J., Avey-Arroyo, J., Mindich, D., & Wilson, R. (2018). The      
     metabolic response of the Bradypus sloth to temperature. PeerJ, 6, [e5600].
      https://doi.org/10.7717/peerj.5600

16.Scicurious. “Friday Weird Science: The Armadillo Penis, a study in flexural stiffness.” NEUROTIC
   PHYSIOLOGY, 2 Aug. 2013, scicurious.scientopia.org/2013/08/02/
   friday-weird-science-the-armadillo-penis-a-study-in-flexural-stiffness/. Accessed 30 May 2019.

17. IDENTICAL QUADRUPLETS EVERY TIME. carnegiemnh.org/identical-quadruplets-every-time/. Accessed 30 May 2019.

ウッホ・ウホミツ

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日本のち、時々海外で過ごしてきました。会社人ライフを過ごす中で、植物を育て環境への意識が高まったよ。人間です。
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