飛べない鳥にあこがれて

インコを拾ったらダボス会議まで行っちゃった話

2019.04.20 坂野晶 (Akira)

坂野晶 (Akira)

こんにちは!Akiraです。

大の鳥好きです。鳥好きが高じて、一生を環境問題の解決に捧げることに決めちゃいました。当時10歳。現在30歳。

今では、ゼロ・ウェイストアカデミー(Zero Waste Academy, Japan)という、ごみの削減と循環型社会の形成を推進する、NPO法人の理事長をしています。

そんな私の人生を狂わせた?鳥物語のはじまり、はじまり~

いつも着てるのは、赤い鯉のぼりをアップサイクルしたジャケット

出会いは突然。4歳のとき、友達の家に遊びに行って、帰りに母が迎えにきた。

親同士が、家の門の前で話をしていたとき、いきなり

バサバサっ

何かが、母の頭の上に降ってきた。

迷わず両手で捕まえた母(笑)。

手の中を見ると、1羽のセキセイインコ。

きっと誰かが飼っていたところから、逃げ出しちゃったのか何だったのか。

とにもかくにも、家に連れて帰ることになった。

インコの色は目立つから、普通は逃げ出しちゃったりすると、すぐカラスなんかに見つかったりしてあまり生き延びられないのだけれど、(野生でないとエサの取り方も知らないことが多いし)当時はまだ、こうした「迷いインコ」は、そこそこ?たまに?いたみたい。

家に帰ると、昔インコを飼っていたことのある祖母が鳥かごを出してきて、適当に「ピイコ」と名付けて飼い始めた。

人には慣れているけど、手にはとまらず、かごから出しても人の頭にばかり降りてくる。(手を出したら噛む)

テーブルの上に置いてあるコップから、コーヒーばかり飲もうとする(※鳥に水以外を与えてはいけません)。好物はチーズ。

前はどんな飼い主だったんだ(笑)とツッコミを入れて想像したくなるような、ヘンなインコだった。

私は最初、噛まれたり飛んでこられたりするのが怖くて、かごから出したときは布団を被って隠れていたんだけど、そんな時、ピイコは決まって私が被っている布団の上にとまりにきた。そうして、徐々に私も慣れていった。

飛ぶし、鳴くし、スタスタ歩くし(インコは意外と走るのも早い)、ヘンなところに入るし、物はかじるし、でものんびり綺麗に羽繕いするし。ピイコを追いかけて観察して一緒に過ごしているうちに、いつの間にかインコの虜になっていた。

私は誕生日に何がほしい?と聞かれて、「ピイコのおよめさん」と答えた。

水色の綺麗なセキセイインコが家族に加わった。名前は「ピイちゃん」

春になって、試しに巣箱を入れてみたら、ピイちゃんはたくさん卵を産んで、家族は一気に13羽になった。(※普通は一度に産むのは多くて5個程度です)

小学校に入ってからも、毎日一番の遊び相手であり話し相手はセキセイインコだった。

嬉しいときは一緒にさえずり、悲しいとピイコの前で泣いた。

学校で作る作品は、絵でも作文でも何でも鳥だった。

とにかく鳥ばかり追いかけていた私は、10歳のとき小学校の図書館で1冊の絵本と出会う。

「カカポ 月の子ども」ヘンなタイトルだ。表紙の絵も、私のようなインコとオウムのマニアにしかウケないんじゃないか。むしろこれが鳥だと気づくのは、この小学校の図書館利用者では私くらいじゃないか。

「カカポ」はニュージーランドにしか生息していない、世界で一番大きなオウム。

重すぎて飛べないので、人間や人間が持ち込んだ哺乳類に捕食されたり、人間が森を切り開いたことで生息地を無くしたりして、絶滅の危機に瀕して久しい。

今は、ニュージーランド政府が保護活動を続け、2019年1月時点では149羽。本来の生息環境に限りなく近い状態で、厳しく人の出入りも動植物の出入りも管理された無人島で保護されている。

高校生のとき、カカポのいる国に行きたいと思って留学した。その時にニュージーランド自然保護省を訪問し、カカポ保護活動の第一人者ドン・メルトン博士にもらったカカポの生写真(アイドルの追いかけか!笑)

Photo: Don Merton

カカポというのは、原住民マオリの言葉で「夜のオウム」という意味。

その名のとおり、夜行性で、繁殖期以外は1羽だけで暮らし、4年に1度程度しか繁殖しない。その繁殖期は「リム」という木の実が熟れる時期に合わせていて、その時期が来るとオスは開けた場所に集まって夜な夜なドラムのような演奏を体一つで行い、メスが来ると踊る・・。とにかく不思議で面白すぎる鳥だ。この鳥の話だけで1晩は語れるのでここらへんでやめておく。

そんな鳥に絵本を読んで惚れ込んだのだが、だからこそ、最後のページに書かれていた「この鳥はもうすぐいなくなるかもしれない」という事実の衝撃は大きかった。

しかも、その原因が人間による活動なのだ。この時、私の中で「人間=悪いやつ」という構造が決まった。何より自分がその「人間」という一味なのが悔しかった。

でも、自分が人間をやめるわけにもいかないので、人間がカカポに代わって絶滅するまでは、人間として出来る限り、他の美しい種が消えていかないように出来ることをしようと思った。

絶滅危惧種を守るためには?だけでなく、どうすればそもそも絶滅危惧種が生まれないようになるのか?

そんな問いに答えてくれる大人は周りにはいなかった。

当時、自然保護や環境問題に取り組む方法として紹介されるのは「ごみ拾い」や「植林活動」くらいで、自分が一番やりたいことなのに、「仕事」として環境問題解決に取り組む方法も全然わからなかった。

最初は、他に選択肢がわからなくて、「自然保護管(レンジャー)」になりたい、と言ってみた。でも、それはとても大事な仕事だけれど、一定のエリアの動植物は守れても、そもそもなぜ絶滅危惧種が生まれるのか、なぜ環境問題が起こるのか、根本の解決に取り組めないんじゃないかと思った。

だから、大学で環境政策を学ぶことにした。問題を起こしているのが人間なら、人間の社会の仕組みを変えていく必要がある。その仕組みをつくるのが「政策」だから。

・・とまぁ、そこからも頭でっかちに色々考えて、飛び込んで、今の私がある。

普段の活動は、もう紹介すると長くなりすぎるので、ここらへんから見ていただけたら。

特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー ウェブサイト
FORBES JAPAN: “SELF MADE WOMEN 100”
カードで楽しく学ぶゼロ・ウェイスト: ごみゼロゲーム~ごみを救え!
How This Town Produces No Trash
TEDx Talk: ZERO WASTE – A way to enrich your life & the society


最後に、少し最近のことを。

2019年1月にスイスのダボスで開催された、世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)に、マイクロソフト社のCEOサティア・ナデラや、他の5人の若手リーダーと共に、会議全体の共同議長として参加した。

なんだか普段メディア上でしか見たことのない人たちに囲まれて、不思議な感覚だったけれど(この話はまた今度!)、自分なりの会議のハイライトの一つは、実はニュージーランドの若き女性首相、ジャシンダ・アーダーン首相と話したとき。

私が開口一番、「私はあなたとカカポの大ファンなんです!」といった時の、首相の「ありがとう!・・・??カカポ??」となった反応は忘れられない。

普段から私のようなピヨピヨした女子から、憧れています!なんて聞きなれているんだろうけど、さすがにそこにカカポが乗っかることは無かったんだろう(笑)

しかし、笑いながら「なんでカカポを知ってるの??」とあの素敵な笑顔で返してくれ、その後5分近くカカポの話題で盛り上がってくれたので、言うまでもないが本当に素敵な方だ。

Jacinda Ardern, Prime Minister of New Zealand; Young Global Leader, Sir David Attenborough, Broadcaster and Naturalist, David Attenborough, United Kingdom; Cultural Leader, Anand Mahindra, Chairman, Mahindra Group, India, Akira Sakano, Chair, Board of Directors, Zero Waste Academy Japan, Japan and Al Gore, Vice-President of the United States (1993-2001); Chairman and Co-Founder, Generation Investment Management, USA speaking during the Session "Safeguarding Our Planet" at the Annual Meeting 2019 of the World Economic Forum in Davos, January 22,  2019. Congress Centre, Congress Hall Copyright by World Economic Forum / Boris Baldinger

2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、元アメリカ副大統領アル・ゴア、世界的なネイチャードキュメンタリーナレーターのデイビット・アテンバラ、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相、インドの企業家アナンド・マヒンドラと”Safeguarding Our Planet” というセッションに登壇した

いつか、もう少し、世界の環境問題の現状を良くしていくことに貢献できた暁には、

カカポに会いにいけるといいな。

同じくダボス会議の場でハイライトされた、喫緊2018年のWWFによる”Living Planet Report” では、1970年から2014年の間で、世界の野生動物の60%が絶滅したという衝撃の数字が発表された。

まだまだ、人生をかけてやるべきことはたくさんある。


Why Spiral Club??

私たちは「思想のマイノリティ」だ。

残念ながら、特に日本において、環境問題について心から語れる仲間は本当に少ない。

しかも、未来をもうあきらめているような批判だけの人たちじゃなく、楽しく、ポジティブなエネルギーを持って、環境問題を語りたい。

世界中では、そんなワクワクはそこかしこで繋がっていて、危機的な状況だからこそ、前に進んでいこうとするエネルギーを現実に感じる。

そんなパワーを、日本でも、みんなと一緒に生み出したい。

だから、Spiral Clubでは、普段の仕事の時みたいな真面目でコワモテじゃない感じの、ちょっとマニアックで面白い?視点から、ごみのことや、地域コミュニティでのこと、サーキュラーエコノミーについてやダボス会議でのこと、そしてたまに子育てや鳥への愛とかについて、私自身も学びながら、みんなで楽しく考えていけるように発信したいな。

坂野晶 (Akira)

坂野晶 (Akira)

絶滅危惧種のオウムに惚れ込んで環境問題解決をライフミッションに。環境政策を学び、モンゴルとフィリピンを経て、日本初の「ゼロ・ウェイスト(ごみや無駄をなくす)」宣言を行った徳島県上勝町を拠点に、自治体や企業向けの廃棄物削減の取り組みを推進。2019年ダボス会議にて若手リーダーの一人として共同議長を務めた。もっと詳しく

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