図解編:その0.環境マーケティングで地球に優しい社会を作る
エコプロダクトの売り方・広げ方を一緒に考えていきませんか?

田村 聡

私たちが日々使っている製品やサービス、例えば歯ブラシや洋服、普段食べているもの、それに配達などのサービス、これらが環境に配慮したエコプロダクトに代わったら、社会はとても環境にやさしいものになると思いませんか?
エコプロダクトを売れば売るほど、広げれば広げるほど、環境にやさしい社会になる。
そう思い、エコプロダクトに合ったマーケティング手法を日々研究しているサトシです。
このシリーズ記事「エコプロダクトの売り方・広げ方」は、エコプロダクトを売る・広げるのにピッタリなマーケティング手法を図で説明する図解編と、それを実践してみる実践編の2つで構成されてます。
第0回目となる今回は、エコプロダクトを売る・広げる時に役に立つ、環境マーケティングという考え方を図にしました。「環境」と「マーケティング」という、かけ離れた2つの関係性をともに探っていきましょう。
※ここでいうエコプロダクトとは、環境に配慮した製品やサービスのこと。素材の選択から、設計、生産、使用後の廃棄までに至る、ライフサイクルの各過程での環境負荷を少なくした製品です。
◾️目次
- 図①:環境マーケティングが果たす役割
- 図②:消費者と環境団体・企業の関係性
- 図③:地球環境を考慮に入れると
- 環境製品における購買活動の課題
- 図④:環境マーケティングが果たす役割
- 図⑤:エコプロダクトを売るために環境マーケティングが果たす役割(再掲)
◾️図①:エコプロダクトを売るために環境マーケティングが果たす役割
まずは、こちらの図を見てください。
何の図かお分りいただけますでしょうか?
これは、エコプロダクトを売る際にマーケティングが果たす役割についてまとめた図です。
この図を見て「全てを理解しました!」という方は、貴重な時間を潰す必要はありません、ぜひとも他の記事に移ってください。
ただ、もし一ヶ所でもよく分からないところがある人は、もう少し読み進めてください。
これから、パーツごとに順を追って説明していきます。
◾️図②:消費者と環境団体・企業の関係性
まず最初に、購買活動のメインである、「消費者」そして「売り手(環境団体・企業)」の関係性を見てみましょう。
「消費者」と「環境団体・企業*」の関係は、その間にある「エコプロダクト」を介して成り立っています。この「エコプロダクト」は洋服や食料品などの場合もあれば、カーシェアリングなどのサービスである場合があります。「消費者」がそういった製品を購入、利用または活動資金を募金することで2者の関係性は成り立っています。
※ここでいう「環境団体」は、環境NPOや環境NGO、市民団体などを指し、「環境企業」は環境への負荷の少ない製品やサービスを提供する企業を指します。
◾️図③:地球環境を考慮に入れると
「消費者」と「環境団体・企業」の関係に、「地球環境」を追加すると以下のようになります。
「環境団体・企業」が販売する「エコプロダクト」は、一般の製品に比べて「地球環境」への負荷が低いです。そのため、「消費者」はそれらの「エコプロダクト」を購入することで、「地球環境」に負荷の少ない消費活動ができます。
また、「消費者」は「環境団体・企業」の製品を買うことで、彼らが行うCSR・環境活動をサポートしていることとなり、間接的に地球環境に良い影響を与えています。
その結果、環境への負荷が減ることで「消費者」は以下のような「自然からの恩恵」を将来も継続的に得られるようになります。
◾️「自然からの恩恵」の例
・木材、鉱物、生物、水、気候などの自然資源
- 木材、鉱物、生物、水、気候などの自然資源
- 自然が保護され、自分の好きな景観や動植物が守られる
- 地球温暖化が抑制されて、自然災害の被害や作物などへの影響が軽減する
- ゴミや汚染などの公害が減る
- 豊かな自然は観光資源となる
- 生物多様性が守られて、将来新薬の発見やバイオミミクリー*など新技術開発に役立つ
◾️環境製品における購買活動の課題
ここで、「環境問題解決におけるマーケティングの役割」の図から少し離れて、環境製品における購買活動の課題について話させていただきます。
以下の図は通常製品の購買行動と環境製品の購買行動の違いを図化したものです。
「通常の製品」は購入時に支払いした金額への対価は支払い先から全て貰いますが、「エコプロダクト」の場合は、金額への対価の一部が地球環境から返ってきます。
どういうことかと言いますと、あなたが150円でコーラを買ったとしたら、150円分のコーラを楽しむことができますよね。
しかし、環境製品の場合はその価格のいくらかが環境への負荷を減らすために使われています。例えば、オーガニックの野菜は通常の野菜より高い値段がします。味や鮮度に違いはあれど、その価格差の大部分は環境への影響を減らすために無農薬で栽培していたり手間暇がかかっているための費用で、その対価は将来的に自然環境から返ってくるようになっているのです。
現在は、こういった将来的に自然環境から返ってくる対価が正しく評価されていない(それを勘定に含められていない)ため、オーガニックの野菜や環境製品の値段が高く感じられてしまうのです。
自然環境に及ぼす悪影響・好影響を「通常の製品」の価格にも反映させること、もしくは「消費者」に「エコプロダクト」を買う長期的メリットを知ってもらうこと、それが「エコプロダクト」を売る・広げるための課題なのです。
◾️図④:マーケティングの役割
それでは、もう一度「環境マーケティングが果たす役割」の図に戻りましょう。
環境マーケティングの役割は、前段落にて説明した課題を解決するための、「消費者」と「環境団体・企業」の間のコミュニケーションです。
マーケティングとは「物を売る活動」だけだと誤解されがちなのですが、マーケティングには「顧客を理解して、コミュニケーションする」といった役割もあります。
企業はマーケティングを通して顧客とのコミュニケーションをとり続けて、顧客の態度変容を起こすのです。
「エコプロダクト」にとって重要なのは、その最終的なメリット(自然環境からの恩恵)を消費者に知ってもらい、 今は市場の中で評価されていない価値を含めて購買の選択をしてもらうことです。
環境製品を選ぶことが地球環境を守るための我慢ではなく、環境への負荷を考えた際に、最終的なメリットが大きいから自然で合理的な選択と考えてもらう必要があるのです。
「自然からの恩恵」を市場価値として理解してもらえるように、「消費者」にとってわかり易いコミュニケーションをし、消費者の理解を高めることができれば、「エコプロダクト」の市場の受容性は高まるでしょう。
これこそまさに、マーケティングが専門とすることです。
つまり、地球環境問題と消費生活との関係を理解し、それに対する「環境団体・企業」の「エコプロダクト」の役割とポジショニングを明確化すること。また、それを「消費者」に理解あるいは実感できる形できちんと伝えること。
それこそが、エコプロダクトを売る・広げるためにマーケティングが果たす役割だと思っています。
◾️終わりに
いかがだったでしょうか。
今回から始まったシリーズ「エコプロダクトの売り方・広げ方」ですが、
エコプロダクトを売る・広げるのに使えそうなマーケティング手法をどんどん図していきます。
そして、図化していくことに止めずに、実践もしていきます。
まずは、素材から製造過程に関わる情報を開示する「Transparent Pricing」という方法でオーガニックコットン100%のTシャツの魅力を広めて、売っていきます。
次には、Web上で個人が商品の紹介記事を書いて広告費をもらう「アフィリエイト」という仕組みを使って、未来のたんぱく質源として話題のコオロギバーを広めた企業の試みを紹介し、実践していきます。
興味のある方は以下の記事を読んでみてください!
それでは、また次の機会に。
※本シリーズの図解は©ビジネスモデル図解製作委員会様の「ビジネスモデル図解ツールキット」を利用させていただいています。

田村 聡
1992年生まれ、東京都羽村市出身。
オーストラリアで環境学を学んだ後、ネット広告代理店にて勤務。
目標とするものは、千の手を持つお地蔵さん。穏やかで優しく、多くを救える人になりたい。もっと詳しく


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