今こそ考えたい、温暖化の話。

歴史を決める瞬間に、あなたは何をしますか?温暖化の報告書をわかりやすく噛み砕きました!

2019.01.17 清水 イアン

清水 イアン

新しい報告書が出たんだってさ!

2015年10月8日、IPCC という国連の機関(気候変動に関する最強部隊)が報告書を発表しました。その名も「地球温暖化 1.5 ℃」。

その内容がやばくて、しばらくズッドーン!と思いっきり落ち込んでました。

なかなか辛い気持ちが続き、早く記事を書こうと思いながらも一向に筆が進まず。発表からほぼ一ヶ月、やっと書くことができました。

(この記事を実際に書いたのは、2018年の11月)

6000以上の論文を、1000人以上の科学者が力を合わせてまとめた「地球温暖化1.5℃」には一体何が書かれているのか?今日は、僕の心に特にグサッと刺さった内容を一部紹介します。

そもそも、 Why 1.5℃?

まずは今回のレポートが執筆されるまでの経緯についてちょびっとだけお話しします。

2015年12月、パリ。国連が主催した気候変動に関する世界会議で195カ国が以下↓↓の目標に合意しました。

「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて、2℃より十分低くおさえ、さらに 1.5℃ 未満におさえる努力をする」

パリ協定

世界はこれを「歴史的」とたたえました。合意に「1.5℃ 」が含まれていたことがその理由の一つです。というのも、温暖化を1.5℃に抑えなければいけない、と気候変動に特に脆弱な国などがずっと訴えてきたのですが、それに全世界が合意するとは誰も思っていなかったからです。

でも、実際 1.5℃ の温暖化が社会&環境にどれくらい影響を与えるのか?温暖化を1.5℃ におさえるためにはどういう対策が必要なのか?この二つの点が合意の時点でまだハッキリと理解されていませんでした。

そこで、「ほんなら調査してーな!」と国連が IPCC に頼んだ結果生まれたのが今回の報告書なのです。簡単にまとめると、「地球温暖化 1.5 ℃」には

  • いつまでに 1.5℃ 温暖化しちゃうの?
  • 1.5℃ の温暖化、2℃ の温暖化でどういう影響が出るの?
  • 1.5℃ におさえるにはどういう対策が必要なの?

について書かれています。では内容へと・・・

さようなら、愛しのサンゴちゃん

まず知っておきたいのは、温暖化したら何がおきるの?ですが、僕が大好きなサンゴに関していうと 1.5℃ の温暖化で 70-90%2℃の温暖化で99%以上が死滅すると IPCC は報告しています。

1.5℃ 以上の温暖化=サンゴほぼ全滅、ということですが、実は状況は現在すでに深刻です。

2018年1月時点の報道によると、沖縄県の石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」の約50%がすでに白化しています。2016年には、世界遺産として知られるオーストラリアのグレートバリアリーフの 93% が何らかの形で白化し、現在までですでに全体の半分が死滅しています

もうかなり大きな割合のサンゴが温暖化による影響を受けているのです。

サンゴは海洋生物の 25% を支えていると言われています。それだけに、サンゴの死滅が海洋生態系や、生活のためにサンゴ礁に生息する生き物に依存している人へ及ぼす影響も心配です。

個人的にも、サンゴの死滅はとてつもなく辛いことです。

昔よく潜っていた宮古島の八重干瀬や、石垣島の米原のダブルリーフや白保の宝箱のような色とりどりの海から、サンゴが消えると思うと胸が痛みます。

サンゴが「博物館でしか見れない未来」が来てしまうかもしれない・・・

みなさんはどう感じますか?

酷暑どころじゃない。外出禁止レベル。

地球が温暖化すればするほど、地球が温暖化すればするほど、「熱波」が起きた時の最高気温が高くなると IPCC は報告しています。熱波とは、気温が平均値よりも大幅に高くなる異常気象のことです。

具体的に最高気温がどれほど高くなるかというと、1.5℃ の温暖化が起きると、最高気温が今より3℃ 高くなります。2 ℃の温暖化が起きると、今より 4℃ も高くなります。

今年(2018年)の7月23日、青梅市で40.3℃を観測し、東京都の観測史上最高気温が更新されました。1.5℃以上温暖化した世界では、これよりさらに 3℃ 以上高い気温が観測されるということです。

43度の東京。ゾッとします。

ソフトクリームなんて瞬殺。化粧はドロドロ。Tシャツなんて何枚あったって足りやしない。隠し続けてきたカツラも暑くて外したくなりそう。

でもこれはそんな甘い話ではありません。

今年(2018年)、記録的な暑さが続いた中、東京消防庁による救急出動も記録的に増え、1日あたりの出動件数の歴代10位までがすべて、7 ~ 8月に更新されました。現在の暑さですでに危険なレベルに到達しているということですが、このまま行くと、日中出歩くこと危険な日がより多く訪れることになるでしょう。

タイムリミットは 2052年?

1.5℃ 以上の温暖化でサンゴはほぼ死滅し、夏は出歩くことが危険な日が増えてしまう。そんなことがわかりましたが、これは一体いつの話なのか? 1.5℃ 温暖化した未来はいつやってくるのか?

IPCC によると、すでに地球の平均気温は産業革命前と比べ 1℃上昇しています。そしてこのまま行くと、 2030 – 2052年の間に 1.5℃ に到達すると報告しています。

つまり、たったの12- 34年後。26歳の僕が 38 – 60歳。そう遠くない未来です。

将来世代のことが心配になります

そもそも、地球の気温の上がり下がりは本来何千年という時をかけて起こります。

例えば、氷河時代から現代へと移る時、地球が 4 – 7℃温まるのに約 5000年かかりました

しかしIPCC によると、このまま行くと12-34年で1.5℃を飛び越え、2100年には地球の温度は 3℃ 上昇します。今の地球温暖化は、これまでの何十倍という異常な速さで進行しています。

地球の歴史上前例のない速度の気温の変化に、自然は当然適応することはできません。人間ですら適応に苦しむでしょう。

WE NEED システム変革

これ以上温暖化したら大変なことになることも、タイムリミットまで時間がわずかであることもわかりました。で、じゃあどうすればいいの?

温暖化を1.5℃未満に防止するためには、その原因である CO2 の排出を大幅に削減しなくてはなりません。どのくらいかというと、このぐらいです ↓↓

どんだけ急やねん、って思いますよね。このズッドーンってかんじ、まるで急落下するジェットコースターです。

ただポイントは、「意志さえあればこの削減は可能だ!」と IPCC が結論付けているところです。つまり、既存のテクノロジーでどうにかできると言っているのです。

具体的には、エネルギーシステムの変換が必要になります。2030年までに CO2の排出を2010年と比べて 49% 削減し、2050年までに排出の実質ゼロを達成しなくてはならない、とIPCCはまとめています。

これを実現するために2050年までに、世界はこんな↓↓ 割合で電力を作っていなければいけません:

  • 再エネ(水力を含む) 70-85%
  • 石炭 0-2%

具体的な割合が IPCC のサマリーに記載されていないのですが、2050年には2010年と比べて石油の使用は 32 – 87% 減少。ガスは最大で 74%減。もう一方で、原子力の割合は150% – 501% 増加ます。

原子力の増加には複雑な思いを感じますが「CO2 の排出削減」にこだわり、かつ現在の生活水準や、世界のエネルギー需要の増加に対応しようとすると、こうせざるを得ない、というのが IPCC の立場なのでしょう。

ちなみに、2017 の世界のエネルギー供給はこんな感じでした:

  • 再エネ(水力を含む) 25%
  • 石炭 38%
  • 天然ガス 23%
  • 石油 4%
  • 原子力 10%

そして、2016年度日本ではこんな感じでした:

  • 再エネ 7%
  • 水力 3%
  • 石炭 23%
  • 天然ガス 24%
  • 石油 40%
  • 原子力 0.8%

見ての通り、IPCC が必要としている「2050年再エネ70-85%」に到達するには、再エネを大幅に増加し、温室効果ガスをたくさん排出する化石燃料は大幅に低下する「大転換」が必要です。

キレイ

この大転換を実現するためには、世界で年間 300 兆円の投資が2015 – 2030年の間は毎年必要です。

すっごい大量な額に聞こえるかもしれませんが、これは全世界の GDP の 2.5% にしか満たない数字です。全世界がよっこらせ!と本気で協力して頑張れば、どうにでもなる額です。

ちなみに、豆知識ですが、2017年に全世界が軍事にかけたお金は 192兆円。

軍事にこれだけお金をかけるぐらいなら、世界の平和を確実に守る「気候変動対策」にもっとお金をかけてくれ〜い!そう夕日に向かって叫びたくなります。

ちなみに、日本は今も20機以上(2019年2月現在)の石炭火力発電所を新しく建設しようとしています。残念ながら、日本は国として IPCC が求める「大転換」とは逆方向に向かっているというのが現在の状況です。

そんな日本に僕は言いたい。僕は子供にサンゴを見せたいのです!エネルギーシステムを変えてください!再エネを増やしてください!と。

私たち一般ピーポーも、「エネルギーシステム」の変革に積極的な政治家に投票することや、エネルギーに関する意見を周りの人や政府に積極的に発信することで、この「大転換」に貢献することができます。

(これを編集している2019年2月1日現在、ベルギーやデンマークでは毎週金曜日何万人という学生が学校を休み、より積極的な気候変動対策(つまりエネルギーシステムの変化)を国に要求するアクションに参加しています!すごい!)

ライフスタイルの変化「も」必要

1.5℃ に温暖化をおさえるには、個人レベルでのライフスタイルの変化が必要だと IPCC は報告しています。

具体的に挙げられている変化は何かと言うと、

  • エネルギーの消費を減らすこと。
  • 物的消費を減らすこと。
  • CO2 の排出が少ない食の選択をすること。

つまり普段の生活に落とし込むと、

  • できるだけ徒歩や自転車で移動したり。
  • 無駄なものは買わず、使い捨てプラコップの代わりに水筒やタンブラーを使ったり。
  • 野菜中心のヘルシーな食生活に切り替えたり。

そういった行動の変化があったほうがいいだというわけです。

ん?そんなのめんどくせー??

確かに、何もしないよりはめんどくさいかもしれません。でも自転車にまたがりながら、マイ・タンブラーを片手にコーヒーをすする、野菜中心のヘルシー男子・女子になったら、間違いなく今より数段イケてる人間になれると思いますよ?

その根拠はなんだって?

それは上記の全てを実践している、僕自身がその根拠です。

信じないというなら、ほら、証拠に見ナさい!2018年夏の僕を ↓↓

花粉に苦しんだ去年の夏の終わり。奇跡の瞬間。

冗談はさておき、IPCC は、ライフスタイル変化が含まれたシナリオが最も「持続可能な開発目標」(SDGs)とシナジー(相乗効果)が高い形で、1.5℃ 以内に温暖化をおさえることができると報告しています。

どういうことかというと、温室効果ガスの排出削減を徹底すると例えば「温暖化はよくなったけど、失業率が悪化したよ」というトレードオフが生じる可能性があります。しかし、地球の市民達が積極的にライフスタイルを変化させたシナリオでは、SDGs の目標もしっかり達成しながら、温暖化を抑おさえることができてしまうのです。

つまり、ライフスタイルを変えることは、イケてる鼻水小僧への近道だけでなく、持続可能な社会への最も平和な一本道を切り開くのです!

最後に

IPCC の報告書の最も重要な結論は、地球の温度が上がれば上がるほど、世界中のあらゆる状況が悪化すると言うことです。

温度が上昇していくごとに、飢餓に苦しむ人口は増え、魚の水揚げ量は減り、生態系へのダメージは増し、海面は上昇し、最高気温は上がり、氷河は溶け、格差は拡大し、経済的な損失は増えます。

逆に、温暖化を 1.5℃ 未満に抑えることは貧困問題を解決に近づけ、格差を減らし、衡平な社会を育み、より住みやすい地球環境を維持します。

これは僕の主張ではなく、6000 以上の論文をまとめた報告書の結論です。

いま政治が、経済界が、そして僕たちが動けば、IPCC がいう「大転換」は実現可能です。

まずはできることから。

さて、スパイラルを通してより多くの人が気候変動防止に関れる方法を考えようっと!

まずはこのまま行くと「1.5℃到達まで 12 – 34年」ということで、「1234プロジェクト」を発足し、温暖化に関する情報を発信していきます。

あなたは何か実践しようと思いましたか?あるいはすでにどんなことを実践していますか?スパイラルとして私たちには何ができると思いますか?

コメントください!!

参考リンク(ほとんど英語):

http://report.ipcc.ch/sr15/pdf/sr15_spm_final.pdf

https://news.yahoo.co.jp/byline/emoriseita/20181104-00102886/失業や貧困が生じる(リンク切れしてしまいました!)

https://www.greentechmedia.com/articles/read/ipcc-renewables-85-electricity-worst-impacts-climate-change#gs.A_vZTyg

【国際】IPCC、「1.5℃特別報告書」発表。1.5℃気温上昇でも災害拡大、迅速な異次元アクション必要

https://www.theguardian.com/environment/2018/oct/08/global-warming-must-not-exceed-15℃-warns-landmark-un-report)

https://www.theguardian.com/environment/climate-consensus-97-per-cent/2018/oct/15/theres-one-key-takeaway-from-last-weeks-ipcc-report

https://medium.com/wedonthavetime/37-things-you-need-to-know-about-the-new-ipcc-report-b07cd2℃ca0f1

https://www.bbc.com/news/science-environment-45784892

https://www.vox.com/2018/10/5/17934174/climate-change-global-warming-un-ipcc-report-1-5-degrees

清水 イアン

清水 イアン

1992年大阪生まれ東京育ち。心のふるさとは沖縄の海。国際環境NGO 350.org Japanを経て、現在はフリーで環境に関する記事の執筆、講演、コンサルをしている。環境に関する「会話」が日常化していない状況を変えたく、仲間と新たな発信の拠点「Spiral Club」を立ち上げる。もっと詳しく

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