いのちの食べかたって?

あなたはいつも食べものに”納得”できてますか?

2019.10.12 黒坂 陸

黒坂 陸

私たち人間は何でできているのか、考えたことはありますか?

私たちは命を食べて生きています。そう、”いのち”を食べて。

いのちの食べかたなんて私は学校で教ってません。いのちってどう食べるんだろう?

そもそも、いのちって何だろう。いのちって聞くとなんだかとても重くて、貴重で、燃えている感じがするのはなぜだろう。

あなたはいのちと聞いて、何を想像しますか?
普段いのちについてどれだけ考えるでしょうか?
食事をするときにどれだけいのちを食べている感覚を持っているでしょうか?

人類の大半はいのちの食べかたを忘れてしまったのかもしれない、そんな疑問が浮かんでくる。

“いただきます”と”ごちそうさま”は本当にその意味を言葉に帯びているのだろうか。その魔法の言葉が、いのちを食べる方法なのだろうか。

☞映画「いのちの食べかた」とは

私はこの作品を見るのは3回目。

1回目は大学時代にゼミの一環で、2回目は#9 Spiral Club Open Meeting(オプミ1)の準備のためSpiral Clubメンバーのおふじと、3回目はオプミで参加者と一緒に鑑賞しました。

オプミの企画者として私がこの映画を選んだのは、ナレーションがないから。見る人が持つ感性、考え方、知識によって、映画の印象・捉え方が大きく異なる映画だと思ったからです。

2004年10月から2005年10月にかけて、ヨーロッパ内で撮影された映像が組み合わされて構成されています。

冒頭は畜産工場に並列に、均等につるされた、皮がなく真っ二つになった牛(もうこの時点では牛肉でしょうか?)から始まります。

画面が暗転すると中央に「Unser Täglich Brot」ドイツ語でOur Daily Bread、私たちの日常のパンという題名の文字が現れます。

その後急にシーンは緑色のライトの中で、自動化された機械が液体を何かの苗に放射している様子が映し出されます。

またシーンは変わり、トマトが縦型農業で吊るされている姿が映し出され、映画は続いていきます。

1.オプミは毎月第一土曜日に開催している、環境のことについて話す場、Spiral Clubについて知る場を設ける会のこと。

☞2つのルール

今回この映画を観るにあたって参加者に2つのルールをお願いしました。

1つは「映画を見ながら話してもよい」というルールを設けること、じゃないと音声がないので退屈になっちゃうかなと思って。映画鑑賞では邪道かもしれませんが、その場で感じたこと、浮かんだ疑問を声に出すことをして欲しかった意図もありました。

2つ目は「一部のシーンを除く」ということです。その一部とは主に畜産関連の場面。

一緒に今回のオプミを企画したOfujiは映像の中に映る”もの”に感情を移入するタイプ。準備の時に2人で観てると「ちょ、ちょっとやばいやばい…」という彼女の声。

そういえばと、私が前回この作品を見たゼミでの鑑賞会でも、ゼミ生の中で気持ち悪くなっていたり、一部のシーンでは目をそらしている人もいたことを思い出しました。

Facebookでは一部の画像や動画が「暴力的なシーン」と分類されます。私は動物の権利を主張する団体のアカウントをフォローしているので、よく畜産の一部を捉えた写真などが流れてきますが、規制がかかっていることが多いです。

ということは、自分たちの食べものができる過程を見せられない程、酷い状況があるという捉え方もできます。

あなたはどう考えますか?

☞気づき

映画を見ている途中、観終わったあと、いくつかの声が上がり、共有する中で見えたことがあります。

全体を通して感じられるのは食料生産は機械化が進み、食べものを育てる「あたたかみ」や「生命の美しさ」が失われてしまっているのではないか、という疑問。

本来は感謝と喜びに満ち溢れるはずである収穫や、尊敬や畏怖をもって処理されるはずの動物たちが、いかにも機械の一部のように左から右へと処理されている情景がそれを物語っています。

もちろんそれが全てに当てはまるわけではないけど、じゃあどれくらいが生気を失った生産へと形を変えてしまっているのだろう?

加えてこの映画では各場面の後に、労働者の食事シーンが差し込まれています。淡々と、黙々と、袋に包まれたサンドウィッチを、言葉を発することなく、空を見るように食べる彼ら。

何を考えているのだろう?このシーンが伝えたいメッセージはなんだろう…

では、私たちの食生活はどうでしょうか?ご飯を作るどころか、帰宅途中のコンビニでかったお弁当を胃袋を満たすためだけに、機械のように流し込んだことはないでしょうか?

これは個々人の食に対する意識だけが問題なわけではないと思います。
社会全体が食べるという行為を歴史上これまでにないほど軽視している、ともとれるかもしれません。

この原因は様々なところに求めることができます。

資本主義は効率性や生産性を最優先事項となるようにシステムを塗りつぶしてきました。
グローバリゼーションは世界中の人々をつなぐ一方で、普遍化がすすみ、一握りの企業がこれまでにないほど地球上を覆っています。
科学技術の成長は、その安全や倫理性を検討しようとする人間の速度よりも圧倒的に早く、未検討の産物が徐々に、しかし確実に我々の生活に浸透してきています。

しかし、これらの流れが”すべて間違っている”と言い切れないのが、また難しいんだけど…

でもなにか、このままでいけないという思いが私にはあります。
そして、食にまつわる不具合は社会問題としても顕在化し、皆さんも問題意識を持ったことが一度はあるはず。

例えば、食品廃棄・ロスの問題はその一つ。日本は食品ロス大国であり、飢餓などの食糧支援の量よりも多くの食べもの、しかも食べれる状態のものを捨てている現状があります。
他にも大量に使用される農薬による健康被害、畜産業における疫病の流行によって数百万頭が殺処分されていること…。

あなたはどんな食生活を送り、どのように食事していますか?

いつまでこのような食べものを作り、送り、食べ、捨てるシステムを維持していけるのでしょうか?維持するべきなのでしょうか?

☞私たちにできること

でも、じゃあどうすればいいの?
個々人ができることなんてあるんだろうか?
農薬が身体に悪いのはなんとなくわかるけど、有機栽培やオーガニック食品のような高い値段も払えないし…。

でも、できる選択肢や行動は沢山あります。私が大切だと思うのが、自分が納得したものを食べようとすること。

納得するためには、思考をめぐらせなければいけません。レストランで味や量に対する価格に自分が満足するか、納得できたかを考えたことはあると思います。

同じように、あなたが買う野菜がどのように栽培されたのか、食べる肉がどのような経路を辿ってきたのかを考えることで、自分にとって何が”良く”て何が”満足いかない”のかを考えるきっかけになります。

加えてこの納得はいつも感じられるわけではない。予算の問題もあるかもしれないし、根本的に選択肢が限られているかもしれない。

でも、そこであなたが「なにに納得していないのか」に気づくことで、納得できるものを食べようとするし、それを食べられたときにまた違った感覚を得られるかもしれません。

そのお皿がただの味覚と、価格と、量だけではなく、作られた背景やその経緯、そこにかかわった人々の気持ちなどのストーリーを一緒に運んでくれるはずです。

その納得したものを食べたいと思うプロセスこそが重要なんだと思います。

☞やってみよう

納得したものを食べる、その手助けになるかもしれない具体的な方法をいくつか紹介します。

食料システムの新らしい形に携わっていきたいとおもうなら、地域に根ざした生鮮食品や地元の企業が作った食品を買うことも一つの手です。
あなたの地元には直売場やファーマーズマーケットはありますか?

出典: TimeOut( https://www.timeout.com/tokyo/shopping/farmers-market-at-unu)

都心でも例えばFarmers Market @UNUは毎週末に開催しています*。農産物だけではなく、加工品や出店、骨董市などもあって大変賑わっています。

もし特定の農家さんに興味をそそられたら、実際にその農場へいってみるのもいいかもしれません。どうやって野菜ができているのか、どんな野菜が旬なのか、いろんな知識を得られる宝庫ですよ。

例えばくくりの森は農薬・化学肥料を使わず、植物性の堆肥でかつ旬の野菜を育てている農業法人*。事前に問い合わせで連絡すれば、どんな風に食べものが作られているのか、また農家さんの思いなども聞けるはずです。

もし、そんな時間の余裕がないあなた。最近は農家さんと消費者を直接つなぐプラットフォームがたくさん登場しています。その時畑で採れたものが送られてくる…なんかビックリ箱みたいで面白くありません?

例えば上記で紹介したくくりの森も野菜ボックスを販売していますし*、POCKET MARCHE というサービスは多くの生産者から選ぶことができるプラットフォームです。

じゃあ生鮮食品じゃないものはどうすればいいんだろう?

ラベリングをみてみるのは一つの指標です。オーガニックなのか、特別栽培なのか、フェアトレードなのか、JGAP・GGAPを取得しているのかなど判断する材料はたくさんあります。

エコプロ2019での写真。自分が知らないものもありました。

認証についてはまた別の記事で書くので、気になった方は自分で調べてみてください。

そもそも原材料を見てみて、わかるものしか買わない。わからないものは調べるっていうのも手かもしれません。

最近のテクノロジーによって実現したサービスでは食料廃棄をレスキューするのに役立つTabeteなどもあります。営業時間や賞味期限などから廃棄せざるをえない食品や料理を割引でゲットできるアプリ。「もったいない」という気持ちをアクションで解決する方法の一つです。

Tabeteの検索画面、いろんな”廃棄になる予定”のもが安く掲載されています。

ざっと思いついたもの、簡単にまとめると…

・ファーマーズマーケットや直売所で買い物をしてみる
・実際に農家・生産者を尋ねてみる
・既存のサービスを活用して生産者から直接買ってみる
・ラベリングを知って、気にしてみる
・社会にグッドな食のサービスを試してみる

どうでしょうか?この中の一つでもいいから実践することで、いのちの食べかたに思いを巡らせる機会が生まれること筆者は期待しています。

それでも言うけどね、「いただきます」と「ごちそうさま」。

P.S. 参加者がある映画をおすすめしてくれました。その映画はある意味で対照的で、食べものに感謝したくなるような作品だとのこと。ジブリの作品で題名は「人間は何を食べてきたか」。

次はこれでスクリーニングをしようかな。

黒坂 陸

黒坂 陸

黒坂陸は神奈川生まれ、アイデンティティは広めに首都圏。食べる顔はCMに出てくるレベルで幸せそう。チェコでのキャンプをきっかけにヴィーガンになる。「食」に関連する問題に興味深々。大学では市民社会を軸に社会問題について学ぶ。Spiral Clubを通じて、美味しく環境問題を解決できるような方法を見つけたい!もっと詳しく

質問はこちらまでお寄せください スパイラルクラブに寄付する

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