人生ではじめてわさびを愛でた日の話。
奥多摩のわさびブラザーズって知ってる?

FUJIGARA
2021年4月、雲ひとつなし。快晴。都内某所。
そう、ここはまぎれもなく「都内」なのです。
みなさんこんにちは!
スパイラルクラブのおふじこと、FUJIGARAです。
4月中旬、わたしは奥多摩の「わさびブラザーズ」案内の元、わさびツアーへ向かいました。
奥多摩では伊豆に並び昔から「沢わさび」が盛んでしたが、生産者の高齢化や人口の減少により、現在は生産自体が少なくなっているそうです。また、一昨年の大型の台風によって、何百年と残ってきたわさび田は一時かなり荒れ果ててしまっていたそう。
ヒトシさんとたっちゃんは、そんな現状と奥多摩わさびの美味しさを知り、自分たちでもう一度わさびを通して奥多摩の素晴らしさを広めたいと思い活動しています。それが、奥多摩の「わさびブラザーズ」なのです。
川をバッシャバッシャ、わさび田へ
ここ数十年の間わさび田の囲い部分として使用していた人工的なコンクリートも、一昨年の異常気象で完全に崩壊したため、現在は写真の白枠のように周囲に転がっている岩や石を積み上げ自然に近い状態のわさび田をつくっています。なるべく山の形を崩さず、先人たちが残してくれた環境と共存していく方法です。
通り道の川の中には、きらっきらの蛙の卵も。
踏んでしまわないように、ゆっくり、十分注意して渡る。
わさび田は、山の形を上手に利用した段々の形になっています。
段の平部分には、わさびが沢山!
写真の丸みのある葉は、上から下まで全部わさびです。
わさびは刺激的な味ながら、実はとってもデリケート。
日光が当たり過ぎても、日陰で寒すぎても、ダメ。
弱ってしまうと、写真のように葉の外側がシナ〜っと垂れてゆきます。
また、わさびは自分の辛味成分を水で流しながら調整し育つため、わさびにとって川は重要な存在。川の水がないと、自分の辛味成分で成長が止まってしまうのだとか。(「辛いよ〜」と言って丸まるわさびを想像してしまう)
川の水で育てることで、わさびはぐんぐんと根を伸ばし、大きく栄養バランスよく成長していくことができます。
ハッピーライフは栄養満点の土から
川の栄養を保つ鍵は、広葉樹林にあると教えてくれるヒトシさんとたっちゃん。
「広葉樹林の葉は土へ還るととても良い栄養になって、川の水も綺麗になるんです。」
奥多摩は50、60年前に人間がビジネスのため針葉樹林を植え、それがあっという間に森を覆うようになりました。針葉樹林は成長が早く加工もしやすいけれど、葉に広葉樹林ほどの栄養はない。その影響もあってか、今では奥多摩で獲れる川魚のほとんどが養殖で、天然のものが生息するには少し難しいのだそう。
「時間はかかるけれど、広葉樹林がもっと増えれば森も喜ぶと思う。土に栄養があるということは、水も綺麗になるし、自然になっている木の実や葉ももっと美味しくなって、野生動物も喜ぶ。空気も綺麗になる。もしかしたら、川魚も戻ってこれるかもしれないですよね。そうしたら人間も嬉しいし、いいこと尽くしですよ。」
え?こんなに可愛いの?
森の豆知識を教えてもらったら、いよいよわさびの植え付け!
上から下へ向かって山水がわさび田を通って流れている。
段々になっているのは、水をわさびたちへ滞りなく行き渡らせるため。
少しだけ土を掘って、そこに苗を入れ、周囲にある石で固定する。これだけ!
簡単だけれど、苗が繊細なため少しドキドキ。
半年から一年ほど植っていた子!細かい根を取り除くと…
見慣れたわさびの姿が!可愛い。
これはわさびの花。白くて小さいが、太陽に向かってぐんと生命力豊かに伸びている。味はわさびというより、ルッコラに近い。柔らかいし、サラダに入れたら見た目にも美味しいだろうなあ。
これはわさびの種!鞘の中に種が入っています。
小さくて、小さい。デリケートなありのままの姿。
ここまでくると、本当にわさびが愛おしくて堪らなくなってくる。
魔法のスパイス
収穫体験もさせていただいたわさびは、なんとその場で試食することができる。三種類のおろし機で食べ比べをさせていただきました。
温かい白米の上に鰹節とわさびを乗せ、お醤油を回し入れていただきます!
辛みが口や鼻に一切残らなくて、本当に美味しい。
↑わさび専用のおろし機。本場・伊豆の技術。
ふわっとおろせる。口に入れた時は甘いんだけど、あとからどんどん辛くなっていく感じ。
↑鬼泪(おになみだ)。鬼も泣いちゃうほど辛くおろせるから、鬼泪。本当に辛い。ステンレスのものよりも細かいんです、おろし目が。こちらや伊豆のおろし機は香りもより強くなる気がする。お肉やお寿司にはこっちが合うみたい。わたしはドレッシングやソースのスパイスとしても使えるなあと思った。
↑お求めやすいステンレスのおろし機。三種類の中だと一番粗くおろせる。粗いほうが辛くなくて食べやすいの!うどんやお蕎麦にはこのぐらいのほうがいいかも。
おろし方で辛味や香り、触感が全然違うものになる。料理はもちろん、お菓子のレシピに加えても美味しそう。自分好みの食べ方を見つけるのも楽しそうです。
思うわよう、奥多摩
帰り道は急な上り。
下は6歳から上は75歳までのツアー参加者が、これまでこの道を歩いてきたそう。
野生のクレソンをパクリとしつつ、帰路へ向かう。
急な道も行き来しやすいよう、ヒトシさんとたっちゃんが整備してくれている。
気候変動の影響で頻発する異常気象。
今この瞬間、目の前に広がる風景を明日も同じように見れるとは限らない。
それでも、止めどなく移り変わり、懸命に地球と呼応する自然や人々の姿に胸を打たれる。
すごく行きやすい、というわけでもないけれど、すごく遠い、というわけでもない。何百年も前に先人たちが見つけた、そこはまるで秘密基地。
語り継がれた細く長い息吹を、わたしたちがまた後世へと繋いでゆく。
思うわよう*、わさびブラザーズ。
思うわよう、奥多摩。
*思うわよう…神津島のほうで別れの際に使われる。「離れていてもあなたを思い出すよ」の意味で、相手に敬意を示す美しい言葉。
この地に暮らす彼らの自然へ対する敬意と尊敬の念が、今日もわさびを美味しくし、森を守っている。
ブラザーズが運営するわさびツアー
超美味しいわさび丼のキッチンカーもやっているよ
出店依頼などある方は彼らに連絡してみてね!
ヒトシさんが運営する川遊びツアー
今度は川遊びも満喫したい
P.S. 植え付けたわさびは元気かなあ。近々会いに行くね。
FUJIGARA

FUJIGARA
1993年生まれ。カラスと犬と猫と太陽と、踊り狂いながら育つ。もっと詳しく


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