
温暖化に個人で取り組む 6つの方法(+おまけ)
温暖化を平和な形で防止するには、あなたの力が必要です!今日からできる取り組み、紹介します。

清水 イアン
COP 24 って知ってる?
この文章を書いている 2018年12月5日現在、ポーランドのカトヴィツェという街で気候変動に関する世界会議「COP24」が行われています。
COP とは、世界各国の首脳や代表メンバーが万人規模で集結し、気候変動にどう取り組むのか?を国際社会が議論する会議です。
COPは1995年から毎年開催されていて、今回が 24回目。今年の焦点は、パリ協定で交わされた約束を実現するためのルールを作ることです。パリ協定で交わされた約束とは、「1.5C から 2C 未満に地球温暖化を防止する」ことです。
なんで 1.5C ~ 2C 未満に防止することが大事なの?と気になったあなた!僕が前に書いた記事をチェックしてください。
COP では、気候変動防止のために必要な政治的な取り組みについて昼夜議論が続きます。政治的な解決を目指すことはめちゃくちゃ重要です。なぜなら、気候変動を解決するには政治が決定する様々な「システム」の変化が必要だからです。
しかし果たして、政治的な取り組みだけでパリ協定の約束を守ることができるのか?
Good Question!答えは「No」です。
個人レベルでの取り組みって意味あるの?
パリ協定の約束を最も平和的に達成するには、「個人レベルでの取り組み」も重要です。COP 24の会場でもこのメッセージが繰り返されています。
COP24 初日のこと、会議を主催する国連のトップ、アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)が会議に参加するユースにこんなことを伝えました。
「個人レベルでも気候変動への取り組みが必要。
私たち自身もカーボンフットプリントを減らすよう心がけなければいけない。」
IPCC が発表した、気候変動に関する 6000以上の論文をまとめた報告書も、個人での取り組みが必要、と言う結論に達しています。
ということで!
今日の記事では気候変動に誰もが今すぐ取り組むことのできる方法を伝授することにしました!
1人で取り組んでも何も変わらないんじゃないの〜?と思っている方もいるでしょう。そんなことはありません。
以前僕が所属していた国際環境 NGO350.orgの創設者で世界的に有名な環境運動会である Bill McKibben がいつもこう言ってました:
「気候変動に取り組むという事は、世界中に仲間がいるという事。」
気候変動に取り組んでいるあなたには、世界中にたくさんの仲間がいます。スパイラルのメンバーももちろん仲間です。私たちが一丸となって取り組むことで、世界は少しずつ変わっていくのです。
それではどうぞ、気候変動に取り組む方法 TOP 6 + おまけ!
Wynes & Nicholas が2017年に発表したこの調査をベースに、その他の報告書やメディア記事、自分の経験を基にまとめました。
Fly Less:往復フライトを一つ減らそう!(700 – 2800 kg CO2 / year 削減!)
海外旅行大好き〜!なあなた。ちょっと踏みとどまって。今年飛行機に乗るの、何回目?実は、飛行機に乗ることは最も温室効果ガスを排出する行動の一つ。
Wynes & Nicholas(2017)によると、ロンドン ⇄ ニューヨークの往復フライトに一度乗るだけで、約 1600kg CO2が排出されます。それって多いの?
はい。驚くほど。
2016年に環境省が発表した報告書によると、日本の1世帯当たりの平均 CO2 排出量は年間3490kg でした。ロンドン ⇄ ニューヨークを一度往復するだけで、一世帯が一年で出す約半分の CO2 を排出してしまうのです!。
あまりの排出量に、フライトに乗る回数を減らしているか、完全にやめている気候変動学者が世界にはたくさんいます。COP24 でもフライトなどから発生する排出を減らすために、主要イベント会場の様子をライブ配信し、会議へのバーチャル参加を促しています。
出張や旅行など、生きていく中でフライトに乗らなければいけないことはたくさんありますが、本当に本当に必要なのか?考えるクセを身に付けたいものです。
それに、海外もいいけど、日本も美しい。フライトもいいけど、新幹線だってかっこいい。
どうしてもフライトに乗りたい方は、オフセット(飛行機に乗ることで排出した分 CO2 削減の取り組みに貢献)しましょう!
Live Car Free:車フリーな暮らしを(1000 – 5300 kg CO2 / year 削減!)
Wynes & Nicholas(2018)によると車に一切乗らない生活をすることで、一年で 1000 – 5300kg もの CO2 の排出を制限できます。
すでに、自動車の国内需要は減少中。東京などの都市部では公共交通が充実しているため、そもそも車が無くても困りません。
地域の構造上、移動距離が長く、車がどうしても必要な場所に住んでいる人は、電気自動車に乗り替えることで CO2 の排出を大幅に削減できます。その量なんと最大で一年に 1190kg!
世界では、車フリーな生活よりもさらに一歩進んだ「車フリーな街づくり」が進んでいます。
ノルウェーの首都オスロ市では、市の排出の 61% にのぼる乗用車の排出を削減するために、都市部の車の台数を大幅に減らし、「徒歩&自転車優先都市」の実現を目指して積極的に取り組みを進めています。
2019年には都市の中心部にある 650 の駐車場を公園やその他の公共スペースに変換するという目標を掲げています。
徒歩や自転車の利用を優先することは、経済的にも大きなメリットがあると主張する専門家もいます。確かに、ロンドン、バルセロナやニューヨーク、東京では渋谷や原宿など、徒歩で回れる場所は賑やかで、経済的にも潤っています。
さらに!歩くことは健康にもいいですし、豊かな思考を育みます。アインシュタインもダーウィンも、毎日たくさん歩きながら考えてたらしいですよ!
Eat a Plant Based Diet:菜食中心の食事に切り替えよう!(300 – 1600kg CO2 / year 削減!)
食の選択と気候変動が繋がっているの?!と驚かれる方もいると思います。先日、とある大学で公演をした際にも驚かれました。日本ではまだまだ浸透していませんが、近年、家畜の環境負荷が高いことが常識となりつつあります。
家畜の環境負荷が大きい理由は、大きく分けて二つあります。
まず、家畜を育てるには莫大な農地が必要だから。次に、家畜の飼育は莫大な CO2を排出するから。
2018年5月に発表された報告書(Poore & Nemecek 2018)によると、全世界の農地の83%が食肉や酪農製品(=家畜製品)を生産するために使われています。また、家畜から出る CO2 は農業全体の 60% にのぼります。
これに対して、家畜製品が提供するカロリーは全体の18%。プロテインは全体の37%。
必要なエネルギーや農地に対して、提供されるメリットがアンバランスであることがわかります。
同じ報告書によると、全世界が菜食に切り替えた場合、現在の農地の 75% が必要なくなります。全世界の農地の 75% とは、米国、中国、EU、オーストラリアの全てを足した面積と大体同じ大きさです。
凄まじい規模です。想像を絶する大地が家畜を育てるために使われているのです。
COP の会場でも、12月5日に世界資源研究所(WRI)が食に関する報告書「Creating a Sustainable Food Future(=持続可能な食の未来の作り方)」を発表しました。
報告書によると、2050年までに世界人口が約100億人に増加する中で、サステナブルな形で人類に食を行き渡らせるためには、食肉を大幅に減らさなければいけません。
現在と比べて、具体的にどれだけ減らす必要があるのか?
- アメリカ、ロシア、ブラジルなど、食肉が盛んな国では消費量を 40% 削減
- 目安として、先進国では肉を含む食事を一週間に 1.5 回に制限
というのが、WRI の結論です。
ちなみに、肉の消費を抑えずに100億人に食料を与えようとすると、何が起きるのか?世界に残された森林が全て家畜を育てるための農地に変わります。さよならアマゾン。
Poore & Nemecek (2018)のリード科学者であるオックスフォード大学のジョセフ・ポア(Joseph Poore)教授は「ビーガンになることは、おそらく個人の環境への負荷を減らす最善の方法です」と話しています。彼自身、調査の最中にビーガンになったとか。
Wynes & Nicholas (2017)によると、菜食中心の食事に切り替えることで年間 300 – 1600 kg の CO2 排出を抑えることができます。
「食事」とは私たちと地球との繋がりの物語りです。毎日の食事が気候変動、世界の森林、そして私たちの未来と繋がっていることを意識しましょう!
Powershift:クリーンエネルギーを選ぼう!(最大 2500kg CO2 / year 削減!)
クリーンなエネルギーを選ぶことは、最大で年間 2500 kg のCO2 削減に貢献します。すごい!
というか、クリーンな電力を選ぶことができるの? YES!できます。
2016 年の 4月に「電力自由化」が始まり、スーパーで買い物をするのと同じように、自分が使う電気を自由に選ぶことができるようになりました。電力自由化に合わせて日本中で「新電力会社」が立ち上がり、その中にはクリーンな電力を中心に電力を販売しているところがたくさんあります。
クリーンな電力とは、太陽光、風力、水力など、環境を汚さない方法で作られる電気のことです。化石燃料や原子力は、CO2や使用済み核燃料を排出することで、環境を汚してしまいます。
新電力の中で個人的なオススメは、「みんな電力」です。ここの面白いところは、「誰が電気を作ってるか」まで見えるところです。福島県や八王子市の農家さん、大阪の小学校など、様々なところで電気を発電している人たちを応援できます。
みんな電力はこのシステムを「顔の見える電力」と呼んでいます。
電力を切り替えるのは簡単です。ほとんどの場合が、ネットから申し込んで終了!10分もかかりません。しかもほとんどの場合、切り替えると電気代が安くなります!
環境にも財布にも優しい。最高です。
他にも再エネ中心に電気を作っている新電力会社をパワーシフトというサイトが紹介してます!
スパイラルメンバーのりりあんが電力切り替えに関する Youtube ビデオを公開しているので、そっちもチェックしてね〜。
Divest:環境に配慮した金融機関を選ぼう!
え?金融機関と環境?
ピンと来ない方もたくさんいると思います。でも金融機関と気候変動は密接に繋がっています。
あなたが銀行に預けたお金は、タンスにしまった洋服のようにジッとそこに止まっているわけではありません。
あながた預けたお金は、銀行により「運用」、つまり様々な企業やプロジェクトに投資や融資をするために使われています。
問題は、その使われ方。日本の場合、多くの金融機関がCO2を大量に排出する企業やプロジェクトにお金を使ってしまっています。
日本でも活動する国際環境 NGO 350.org によると、みずほ、UFJ、三井住友は世界で #1, 2, 4 の順位で、最もCO2の排出が多い石炭火力発電にお金を融資しています。
温暖化へ取り組む方法として、350.org は「クリーンな銀行」へ個人の預金を移すことを推奨しています。
あなたもこの機会に銀行口座を変えてみませんか?
銀行チェンジ!も含め、温暖化を悪化させる場所からお金を引き揚げることを「ダイベスト」と言います。日本ではまだまだ知られていませんが「ダイベスト」は世界的ムーブメントです。
COP 会期中、ダイベストをしている団体、財団、企業、金融機関、都市などが 1000 を超えました。日本でも徐々に数を増やしています!
Vote:クリーンな政治家にあなたの一票を!
個人の取り組みで CO2 を減らすことも必要ですが、「クリーンなシステム作り」に貢献することも大切です。
環境問題に関係する「システム作り」の多くが政治の領域で決められています。例えば、エネルギーシステム。再エネをどれぐらい増やすのか?は一般的に政治的に決められる目標です。
気候変動や環境問題に関心のある政治家を選ぶことで、この「システム作り」に参加することができます。
せっかくの一票。環境に配慮のある政治家に投じましょう!
終わりに(Let’s Slow Down!)
目まぐるしく変化する社会。溢れる情報。忙しい毎日。
現代社会において、環境に配慮しながら丁寧に暮らすことは中々難しいです。
体や環境にいいものを食べたい!と思っても、忙しいあまりコンビニに駆け込んだり。
忙しくて気候変動について考える暇なんて正直ない!と思ってしまったり。
毎日を急ぐあまり環境に(そして自分の健康にも)悪い方向へと生活が傾いてしまうことを、たくさんの方が経験されたことがあると思います。
上でおすすめした方法を実践するためにはまず Slow Down することが必要なのかも?
そんなことを記事を書いていて思いました。これについてはまた別の機会にゆっくり考えたいと思います。
読んでくれてありがとう!
みなさんは気候変動を防止するために取り組んでいることはありますか?
コメント待ってますー!

清水 イアン
1992年大阪生まれ東京育ち。心のふるさとは沖縄の海。国際環境NGO 350.org Japanを経て、現在はフリーで環境に関する記事の執筆、講演、コンサルをしている。環境に関する「会話」が日常化していない状況を変えたく、仲間と新たな発信の拠点「Spiral Club」を立ち上げる。もっと詳しく


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